AI プロンプトギャラリー

Zero-shot プロンプティング

Zero-shotプロンプティングは、事前の例や訓練データを提供せずに、AIに直接タスクを実行させる手法です。 シンプルで直接的な指示を与えることで、AIの既存の知識を活用してタスクを完了させます。

使用例

プロンプト例 1: 文章分類

次の文章が「ポジティブ」「ネガティブ」「中性」のどれに分類されるか判断してください。
文章: 「今日の天気は曇りで少し肌寒いです。」
プロンプト例 2: 要約タスク

以下の文章を100文字以内で要約してください。
文章: 「人工知能(AI)技術の発展により、私たちの生活は大きく変化しています。スマートフォンの音声アシスタント、オンラインショッピングのレコメンデーション機能、自動運転車など、AIはさまざまな分野で活用されています。これらの技術は今後さらに進歩し、社会全体に影響を与えると予想されます。」
プロンプト例 3: 翻訳タスク

次の日本語を英語に翻訳してください。
「おはようございます。今日はいい天気ですね。」

Few-shot プロンプティング

Few-shotプロンプティングは、少数の例(通常1〜5個)を提供して、AIにタスクのパターンを学習させる手法です。 例を示すことで、より一貫性のある正確な結果を得ることができます。

使用例

プロンプト例 1: 感情分析(2-shot)

以下の例を参考に、文章の感情を分析してください。
例1: 「この映画は本当に素晴らしかった!」→ ポジティブ
例2: 「サービスが悪くて失望しました。」→ ネガティブ
分析してください: 「まあまあの出来でした。」
プロンプト例 2: 商品説明の生成(3-shot)

以下の例を参考に、商品の魅力的な説明文を作成してください。

例1:
商品: ワイヤレスイヤホン
説明: 高音質で長時間バッテリーを実現したワイヤレスイヤホン。通勤や運動に最適です。

例2:
商品: スマートウォッチ
説明: 健康管理機能が充実したスマートウォッチ。スタイリッシュなデザインで日常使いにぴったり。

例3:
商品: ノートパソコン
説明: 軽量でパワフルなノートパソコン。仕事も娯楽も快適にこなせる一台。

作成してください:
商品: Bluetoothスピーカー

Chain-of-Thought プロンプティング

Chain-of-Thought(CoT)プロンプティングは、AIに段階的な推論過程を示させる手法です。 複雑な問題を小さなステップに分解し、論理的な思考過程を明示することで、より正確で説明可能な結果を得られます。

使用例

プロンプト例 1: 数学問題

以下の問題を段階的に解いてください。思考過程も含めて回答してください。

問題: レストランで3人の友人が食事をしました。合計金額は4,500円でした。彼らは15%のチップを払うことにしました。一人当たりいくら払えばよいでしょうか?

思考過程を示しながら解答してください。
プロンプト例 2: 論理問題

以下の問題について、ステップバイステップで分析してください。

問題: 「すべての鳥は飛ぶことができる。ペンギンは鳥である。ペンギンは飛ぶことができる。」この論証の問題点を指摘してください。

分析手順:
1. 各前提を検証する
2. 論理構造を確認する
3. 結論の妥当性を評価する
4. 問題点を特定する
プロンプト例 3: 意思決定支援

以下の状況について、意思決定のプロセスを段階的に示してください。

状況: 新しい仕事のオファーを受けました。現在の仕事より給与は高いですが、通勤時間が長くなります。どう判断すべきでしょうか?

考慮すべき要素を整理し、段階的に分析してください:
1. 現在の状況の評価
2. 新しいオファーのメリット・デメリット
3. 比較検討
4. 優先順位の設定
5. 結論

Tree-of-Thoughts プロンプティング

Tree-of-Thoughts(ToT)プロンプティングは、Chain-of-Thoughtをさらに発展させた手法で、複数の思考経路を並列に探索し、最適な解決策を見つけ出します。 問題を「思考の木」として構造化し、各ノードで異なるアプローチを試行することで、より創造的で包括的な解決策を得ることができます。

使用例

プロンプト例 1: 創造的問題解決

以下の問題について、3つの異なるアプローチで解決策を探索してください。

問題: 在宅勤務の生産性を向上させる方法

アプローチ1: 環境改善の観点から
- ワークスペースの最適化
- 照明・音響環境の調整
- 評価と改善点

アプローチ2: 時間管理の観点から
- スケジュール管理手法
- 集中時間の確保
- 評価と改善点

アプローチ3: コミュニケーションの観点から
- チーム連携の最適化
- ツールの活用
- 評価と改善点

最後に、3つのアプローチを統合した総合的な解決策を提案してください。
プロンプト例 2: 戦略的意思決定

新しいビジネスアイデアの評価について、以下の3つの視点から分析してください。

ビジネスアイデア: AI搭載のパーソナル栄養管理アプリ

視点1: 市場分析
1. ターゲット市場の規模
2. 競合他社の状況
3. 市場ニーズの評価
4. この視点での結論

視点2: 技術的実現可能性
1. 必要な技術要素
2. 開発の困難度
3. 技術的リスク
4. この視点での結論

視点3: 収益性分析
1. 収益モデル
2. 初期投資と運営コスト
3. 収益予測
4. この視点での結論

最終的に、3つの視点を総合して事業の実行可否を判断してください。
プロンプト例 3: 複雑な設計問題

ウェブサイトのユーザビリティ改善について、以下の3つの手法で検討してください。

現状: Eコマースサイトの離脱率が高い

手法1: データドリブンアプローチ
1. 分析すべきメトリクス
2. 問題の特定方法
3. 改善施策の優先順位
4. 効果測定方法

手法2: ユーザーエクスペリエンス重視アプローチ
1. ユーザーペルソナの分析
2. カスタマージャーニーの改善
3. UIデザインの最適化
4. ユーザビリティテスト

手法3: 技術最適化アプローチ
1. ページ読み込み速度の改善
2. モバイル対応の強化
3. 検索機能の向上
4. セキュリティの強化

3つの手法を組み合わせた包括的な改善計画を策定してください。

Tree-of-Thoughts 実装のコツ

  • 明確な分岐設定: 各思考経路が重複しないよう、明確に区別された観点を設定しましょう
  • 段階的評価: 各経路で得られた結果を段階的に評価し、もっとも有効な要素を特定しましょう
  • 統合プロセス: 複数の経路からの洞察を統合する明確なプロセスを含めましょう
  • 反復改善: 初回の結果を基に思考経路を調整し、より良い解決策を探索しましょう
  • 記録と追跡: 各思考経路の進捗と結果を明確に記録し、あとで参照できるようにしましょう

Generated Knowledge プロンプティング

Generated Knowledge(生成知識)プロンプティングは、AIが自ら知識や情報を生成し、その生成した知識を活用してタスクを解決する手法です。 既存の知識ベースに依存せず、AIが新たな事実や仮説を構築しながら問題解決を進めるため、未知の課題や情報不足の状況でも柔軟に対応できます。

使用例

プロンプト例 1: 新規知識の生成

以下のテーマについて、AIが自ら仮説や新しい知識を生成し、その内容を説明してください。

テーマ: 未来の都市交通システム

1. どのような新しい交通手段が考えられるか?
2. それらが社会に与える影響は?
3. 実現に向けた課題と解決策は?
プロンプト例 2: 未知領域の説明

AIがまだ十分な情報を持たない分野について、推論と知識生成を行い、説明してください。

分野: 宇宙における生命の可能性

1. 生命が存在する可能性のある環境は?
2. どのような生命体が考えられるか?
3. その発見が科学に与える影響は?
プロンプト例 3: 生成知識による意思決定支援

新しいビジネスモデルの提案において、AIが独自に知識を生成し、意思決定をサポートしてください。

1. 市場の未発見ニーズを推定
2. それに基づく新規サービス案の創出
3. 事業化に向けた課題と解決策の提示

Generated Knowledge 実装のコツ

  • 仮説生成: 既存知識にとらわれず、AIに新しい仮説やアイデアを生成させましょう
  • 多角的視点: 複数の観点から知識を生成し、幅広い可能性を探りましょう
  • 検証プロセス: 生成された知識や仮説を論理的に検証する手順を含めましょう
  • 応用例の提示: 生成知識を具体的なタスクや意思決定に応用する例を示しましょう
  • 反復的改善: 生成した知識をもとに、さらに深掘りや改善を繰り返しましょう

技術比較

技術 特徴 適用場面 メリット デメリット
Zero-shot 例を提供せずに直接指示 シンプルなタスク、一般的な質問 簡潔、迅速、汎用性が高い 複雑なタスクでは精度が低い場合がある
Few-shot 少数の例を提供して学習 パターンが重要なタスク、一貫性が必要 高い精度、一貫した出力 例の作成に時間がかかる、プロンプトが長くなる
Chain-of-Thought 段階的な推論過程を明示 複雑な推論、数学的問題、論理的分析 高い精度、説明可能性、信頼性 時間がかかる、長い応答
Tree-of-Thoughts 複数の思考経路を並列探索 創造的問題解決、戦略的意思決定、複雑な設計 包括的な解決策、創造性の向上、多角的視点 非常に長い応答、高い計算コスト
Generated Knowledge AIが知識や仮説を自ら生成 未知領域の説明、新規アイデア創出、意思決定支援 柔軟な対応力、創造性、情報不足でも活用可能 検証が必要、誤った知識生成のリスク

実践的なヒント

  • まずはZero-shotで試し、期待する結果が得られない場合はFew-shotを検討しましょう
  • 複雑な推論が必要な場合は、Chain-of-Thoughtを活用してステップを明確にしましょう
  • 創造的で包括的な解決策が必要な場合は、Tree-of-Thoughtsで複数の視点から探索しましょう
  • 未知の課題や新規アイデアが必要な場合は、Generated KnowledgeでAIに知識や仮説を生成させましょう
  • Few-shotでは、多様性のある例を選ぶことで汎用性を高められます
  • Chain-of-Thoughtでは、「ステップバイステップで考えてください」という指示が効果的です
  • Tree-of-Thoughtsでは、各思考経路を明確に区別し、最後に統合プロセスを含めることが重要です
  • Generated Knowledgeでは、仮説生成と検証プロセスを明示することで信頼性を高められます
  • 技術を組み合わせることで、より効果的なプロンプトを作成できます